揚げ物をする際、油がブクブクと泡を立てる現象に誰もが一度は遭遇しますね。
油の種類や使用する食材にかかわらず、調理中に油が泡立つのは一般的なことです。
しかし、普段とは異なる泡が出現すると、それが何を意味しているのか、安全に食べられるのかと不安や心配が募ることもあるでしょう。
そこで、この記事ではなぜ揚げ油が泡立つのか、その原因と安全な対処法について詳しく解説します。
揚げ物の際の泡立ちに対する不安を解消し、安心して美味しい揚げ物を楽しめるようにする情報をお届けします!
揚げ物の泡、善し悪しは?
冒頭で触れた通り、使用する油や食材に関わらず、揚げ物をする際には必ず泡が生じます。
ただし、揚げ物における泡には、「適切な泡」と「問題のある泡」の二つのタイプが存在します。
では、「問題のない良い泡」とはどのようなものでしょうか?
①問題のない良い泡の特徴
問題のない泡、つまり通常見られる「気泡」について説明しましょう。
食材に含まれる水分は、高温の油に接触すると反応を起こします。
このとき、食材の水分が高温によって蒸発し、その過程で空気中に放出されることで気泡が形成されます。
これが「良い泡」と考えられる理由です。
②問題を引き起こす泡の特性
一方で、揚げ物をする過程で問題を引き起こす泡も存在します。
ブクブクとでる大きめタイプの泡は普通の気泡よりも大きく、カニの口から出る泡を連想させるような、通常と異なる特徴を持っています。
このような泡は食品の味や香りに悪影響を及ぼすだけでなく、健康上のリスクをもたらすこともあります。
特に問題があるとされるこの泡は、「カニ泡」とも呼ばれています。
劣化!
— 0円料理教室│ひろさんきっちん♪ (@hirosankitchen) June 10, 2024
揚げ物をした時に「泡が出まくった」ら
油が劣化したサインです!
交換しましょう😆
新しい油と比べて「衣もベチャっと重く」なります…(胃が重テェ…) pic.twitter.com/rzKmQQQp1v
揚げ物の泡立ちの原因を3つ紹介
次に、揚げ物をする際に泡立ちが生じる原因を探ります。
先に説明したように、気泡の主な原因は食材の水分が高温で気化することにあります。
この節では、その他に油が泡立つ原因をいくつか解説していきます。
①油の温度低下の問題点
揚げ物をする際、鍋のサイズや食材の量が原因で作業が煩雑になることがあります。
多くの人が陥りがちなのは、一度にたくさんの食材を鍋に入れてしまうことです。
使用する油の量にもよりますが、大量の食材を同時に投入すると、油の温度が急激に下がり、結果として食材からの水分が多くなり、多くの泡が発生する原因となります。
さらに、多くの食材を一度に揚げると、食材同士がくっついたり、鍋底に付着して焦げるなど、望ましくない結果を招くことがあります。
したがって、手間がかかるかもしれませんが、食材を少量ずつ適切に揚げることが重要です。
②油の酸化による泡立ち
前述した通り、カニ泡の主な原因の一つは油の劣化(酸化)です。
多くの家庭では、揚げ物の後の油をオイルポットで保存し、何度も再利用するのが一般的です。
新鮮な油を毎回使用することは経済的にも環境的にも持続可能ではないため、油のリサイクルが推奨されています。
しかし、同じ油を繰り返し使用することで、油は徐々に「疲れ」を示し始めます。
「油が疲れる」とは、油が酸化し始めた状態を指します。この状態で油は次第に粘度が増し、重くなっていきます。
何度も使用した油でカニ泡が見られた場合、これは「油が古くなっている」ことが原因と考えられます。
このように劣化が進んだ油で泡立ちが観察された場合は、交換の時期と判断し、適切に処理するべきです。
③食材由来の成分が泡立ちを引き起こす場合
カニ泡が必ずしも悪影響をもたらす「悪い泡」ではありません。
新鮮な油を使用していてもカニ泡が見られる場合、それは揚げている食材の成分が影響している可能性があります。
特に、卵を使った料理ではカニ泡が生じやすいです。
たとえば、卵に浸したトンカツを揚げる際にこの種の泡が発生することがあります。
卵に含まれる「レシチン」という成分が油に溶け出し、大きな泡を形成する原因となります。
さらに、肉や魚の動物性油脂も泡立ちの一因となります。
これらの食材から油に溶け出した動物性油脂が油中で反応し、泡を生じさせます。
泡立ちの原因と対処方法
料理詳しい人いたら教えて欲しいです
— 静かなる鈴木🧊🔮💙📿6/10 (@NDERC9029) June 11, 2021
いつも通り揚げ物してたら泡やばいんだけどなんで? pic.twitter.com/7OjYGw4j9y
ここでは、油の泡立ちの原因とそれに応じた対策法を説明します。
①油温の管理
以前にも触れましたが、食材を一度に多く投入すると油温が下がり、泡立ちや焦げの原因になることがあります。
対策としては、一度に揚げる量を少なくすることが重要です。
さらに、大きな鍋を使い、油を多めにすることで油温の低下を防げます。
②酸化した油の対処
油の酸化が進みカニ泡が発生する場合は、使用していた油を捨てて新しい油に交換することをお勧めします。
一部では、古い油に新しい油を足す方法もありますが、既に酸化重合物を含んでいるため問題の解決にはなりません。
酸化した油がカニ泡を引き起こした場合、その油は寿命と考え、新しい油を使用すべきです。
この機会にオイルポットの洗浄も行うと良いでしょう。
天ぷらやとんかつなど、美味しい揚げ物を楽しむためにも、使用後の油の管理には注意しましょう。
油を廃棄する際は、油を凝固させて適切に処理することが大切です。
③成分の流出による泡立ち
卵のレシチンや動物性脂肪が溶け出して油が泡立つ場合、油を追加する方法が有効です。
揚げ物用の油の量が少ないと、泡立ちを引き起こす成分の濃度が高まり、泡が多く発生することがあります。
油の量を増やすことで、これらの成分の影響を軽減し、泡立ちを抑制することができます。
また、油の量を増やすことで、食材を入れた際の温度低下も抑えられ、泡立ちが減少します。
ただし、油を追加する際には、温度が一時的に下がることを意識する必要があります
。新しい油を加えた後は、揚げ物を再開する前に油を適切な温度までしっかりと加熱することが重要です。
まとめと留意点
- 油の泡立ちには、無害な気泡と注意が必要なカニ泡の二種類があります。
- 酸化によって発生するカニ泡には特に注意が必要です。
- 油温の低下や食材の成分によっても泡が生じることがあります。
- 使用している油が古くなった場合は、新しい油に交換することが望ましいです。
- 新しい油を追加する際には、温め直した後に揚げ作業を続けましょう。
油の泡立ちの原因と対策について解説しました。
カニ泡の発生は驚くかもしれませんが、酸化以外の原因であれば健康への直接的な害はないため、安心して対応できます。
古い油が原因である場合は、惜しみなく新しい油で揚げ直すことを推奨します。
また、使用済みのオイルポットが汚れている場合は、適切に洗浄することも重要です。